脳卒中・神経難病による発音・発声の障害
―ST・家族・医療福祉専門職のためのディスアースリア・ガイドブック―
増補改訂版

編者 玉井 直子
著者 玉井 直子/木村 康子
発行所 ライブストーン
発売元 星雲社
本体 3,000円+税
A4変形判 196ページ
ISBN978-4-434-14347-2 C3047

     

脳卒中や神経難病になると、しばしば発音・発声の障害があらわれます。
脳卒中の場合は、発症直後の悪い状態から自然回復やリハビリによって、少しずつ改善していきますが、改善の程度は個人差があります。
神経難病の場合、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症などには必ずあらわれます。病気の進行とともに発音・発声の障害も徐々に進行し、リハビリでは障害の進行を遅らせるか現状を少しでも維持することが目的になります。

このような発音・発声の障害について、訓練・指導の現場を踏まえた総合的なアプローチをまとめたのが本書です。編著者らはST(言語聴覚士)として医療現場で長年、この分野の訓練・指導に携わってきました。臨床で得られた経験知や方法を盛り込んだ本書には、下記のような特色があります。

本書の特色

  1. 脳卒中、神経難病の患者さんの発音・発声の障害について、言語聴覚士(ST)をはじめ、幅広い医療・福祉の専門職や家族にもわかりやすく解説している。
  2. 発音・発声の障害の原因となる疾患と各種の検査方法、呼吸および発声機能の評価法について総合的に説明している。
  3. 従来の言葉のリハビリに関する訓練・指導に加えて、さまざまな新しい方法を提案している。例えば、呼吸訓練、発音・発声を促す体操、自律訓練法、音読・読経を含む音楽療法、指圧療法などの実践的な取り組みが注目される。
  4. 発音・発声の障害にとどまらず、生きることの質(QOL)にかかわるコミュニケーション支援に言及し、闘病に役立つ情報を提供している。
  5. 付録資料の「言語聴覚士法概説」では、この分野の専門家である言語聴覚士の歴史や法律について、諸外国や他の医専門職と比較しながら解説している。さらに増補改訂版では、本書を理解し、ディスアースリアを学ぶのに便利な「リハビリ用語集」が充実している。

■編著者プロフィル

玉井 直子
1946年生まれ。京都大学教育学部卒業(心理学専攻)、京都大学大学院教育学研究科修士課程修了。東京都立神経病院、東京都立荏原病院等勤務を経て、1998年から2009年まで上智大学非常勤講師。現在は鶴見大学非常勤講師。言語聴覚士、日本コミュニケーション障害学会監事。

木村 康子
1953年生まれ。京都大学文学部卒業(言語学専攻)、大阪教育大学大学院教育学研究科修士課程修了。伊豆韮山温泉病院、第二岡本総合病院勤務、専門学校大阪医専専任教員を経て、2007年から神戸総合医療専門学校・大阪医療福祉専門学校非常勤講師。言語聴覚士。


編著者からのメッセージ―――――――――――――― 玉井 直子

発音・発声の障害をもつ人への支援
――話せなくなった患者さんと家族に知っていただきたいこと

入院・通院する病院に言語聴覚士(ST)がいれば、直接訓練・指導を受けられますが、STに訓練・指導を受けられない場合、家族やST以外の医療福祉専門職の方が、この本を参考にしてリハビリの支援をすることができると思います。例えば、発音・発声をしやすくするための体操やストレッチを、図でわかりやすく解説しています。

話すためには、一定以上の呼吸の力が必要ですが、歌ったり読経したりしても呼吸の力を伸ばすことができます。本などの音読を繰り返すことが発音の練習にもなります。また、一文の長さを短くするなど、話し方でも伝わりやすさは違ってきます。難しく考えなくても、身近な方法を使ってリハビリはできるのです(第5章)。

しかし、話すことではコミュニケーションが難しい場合があります。口頭で話すことが困難な場合、替わりの手段(補助代替手段)が使われます。「書く」ことは、最も一般的な補助代替手段ですが、そのほか、サイン、ジェスチャー、文字盤から視線やわずかな動きを使ってパソコンを操作する方法、身体が全く動かなくなった患者さん用に脳波や脳血流を使ってyes-no反応を読み取る方法など、簡便な方法から最新のハイテク機器までをわかりやすく解説し、かつ入手方法なども紹介しています(第6章)。

言葉をうまく使えなくなることは、人として生きていくのに大変大きな障害になります。伝えられる言葉や補助代替手段の確保はもちろん大切ですが、大きな言葉の障害を背負ってしまった方の人生の在り方について、周囲の方たちが一緒に考えることも同じように大切であることを伝えたいと思い、多くのページをさいてあります(第7章)。

この本が、発音・発声の障害を専門家だけにまかせるのではなく、家族や周囲の医療福祉専門職の方々にも、共に考えるきっかけになることを期待しています。

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